もっと一次救命処置を身近に つなげ命のバトン!!
どんなときも、助かるべき命を救いたい!
「もし、目の前にいる人が突然倒れたら」―。AED(自動体外式除細動器)の普及で、市民による一次救命処置(人工呼吸、心臓マッサージの実施、AED の使用)が人命救助のカギとなっています。1分1秒を争う心肺蘇生法などを広く伝え、一人でも多くの命を救おうと活動するのが「熊本大学ALS部」。医療従事者の“卵”である医学部?薬学部の学生約50名が、一次救命処置の普及活動に取り組んでいます。
メンバーの医学部医学科4年?香田 将英(こうだ まさひで)さんは、実際に心肺停止症例に直面した一人。「高校時代、同級生が突然倒れて亡くなったんです。私は何もできず、助けるすべもなくて???本当に悔しかった」と今も声を詰まらせます。
「アメリカには地域社会や教育現場で一次救命処置について学ぶ文化があり、それによる蘇生率が日本よりも高いんです」と語るのは、リーダーを務める医学部医学科4年?木庭 茂(こば しげる)さん。「住む場所によって“救われる命”と“救われない命”があるのは悲しい。一次救命処置を広く伝えるためにも、まず私たちが学ぶべきことがたくさんあります」。
大学の枠を越えて、学びをシェアする
全国の医学生が集まって、各大学で定期的に開催されるワークショップに積極的に参加するメンバーたち。ワークショップでは、日頃の活動報告をしたり、医療行為による気管挿管や心電図の読み方などの二次救命処置を訓練します。学生による学生のための勉強会では、相互に教える立場にもなるため、「どういう風に講習を展開したら聞き手を引き付けることができるのかという、指導する側の視点が身に付きました」と医学部医学科4年?近木 亜衣(こぎ あい)さん。「『あなたの横で人が倒れました!その時どうする!?』と切り出して、現場を想定させることも大事だと気付かされました」と、医学部保健学科看護学専攻1年?中村 実穂(なかむら みほ)さんは話します。
ワークショップに向けて、毎日議論やリハーサルを重ね、ワークショップ開催前の一週間は、徹夜の日々が続くことも。しかし、ワークショップで学外の同志から得る情報やディスカッションを通じて研さんを積み、メンバーは確実に成長しています。
教育現場の講習で、確かな手応え
「熊本大学ALS部」では、昨年開催された医学部学園祭「本九祭」でブースを設けて一次救命処置の講習を実施したほか、高校の保健体育の授業に補助として入るという初の試みも実現させました。心肺蘇生法やAEDの使い方などについて、直接高校生に教えたメンバーたち。最初は緊張したものの、ワークショップで鍛えているプレゼンテーションがとても役に立ったと振り返ります。
高校生からは、「一次救命処置を体験するのは初めてでした」「何かあってからでは遅いので、今、身に付けておくのは大事だと思いました」といった反応があり、一次救命処置が根付いていない厳しい現状を知ると同時に、確かな手応えを感じています。
木庭さんは、「学生という立場上、いろいろと制約はありますが、どんどん一般の人に向けて広めていきたいです」とやる気十分。「熊本大学ALS部」の“命への挑戦”は今日も続きます!
(2012年3月21日掲載)
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