番外編 博士人材による発表会 in グランメッセ熊本 魅せます 熊本大学博士人材の底力
熊大が世界に誇る最先端の研究が分野の垣根を越えて集結した初の試みで、大学院博士課程に在籍する5人の学生たちが研究成果を発表。企業関係者や一般聴衆が熱心に耳を傾けました。
学生の視野を広げる社会との関わり
◆:「博士人材による発表会 in グランメッセ熊本」の主催は、熊本大学イノベーション推進人材育成センター(HUREC)。発表会の目的は何ですか?
松本:HURECでは若手博士人材の技術経営センスの修得を支援?養成し、企業などでグローバルに活躍する人材を育成しています。博士課程の学生たちは研究が忙しく、インターンシップに参加したくても両立するのが難しいのが現状です。そこで多彩な企業が集うビジネスフェアの場を借りて、自分たちの研究成果を発表することで学生たちに視野を広げてもらうために開催しました。また、地場産業と熊本の皆さんに熊大が取り組んでいる先進の研究を知ってもらうことも目的の一つです。教員が話すのも方法の一つですが、学生たちが自らの成果を発表すれば、優れた人材が育っていることをアピールすることにつながりますので、その意義は大きいですね。
◆:先生は大学院の「MOT特別教育コース」で全体の統括など行っておられますね。
松本:MOTとは「Management of Technology」の略で、一般に技術経営と訳されます。技術をビジネスとして捉え、新しい価値を生み出すプロセスや経済的価値を創出し、プロジェクトを完遂するなどのマネジメント力を養います。物事に対して論理的思考でビジネスモデルを構築する基本やアイデアの発想法など、実際に社会で生かせる技術を身に付けることができるんですよ。これまで受講した学生のうち、2名がベンチャー起業して活躍しています。目からウロコのような感動を呼ぶおもしろいプログラムだと言えるでしょう。
物事を極めた時に見えてくる未来
◆:社会は、経済的価値を生むビジネス構築のプロフェッショナルを求めているんですね。
松本:そうですね。博士人材は研究をして技術を生み出すものだと思っている人が多いのですが、それだけじゃありません。もちろん知的財産を広く一般に還元することも大切ですが、例えば高校生に向けて先端研究の成果や意義を伝える。あるいは一緒に研究したり実験する機会を持ってほしいと思っているんですよ。お兄さん、お姉さんのような近い存在として接し、研究の魅力や喜び、達成感を伝えることができるでしょう。それが次世代の人材育成につながる大切な取り組みだと考えています。
◆:昨今、やりたことが見つからない若者が増えていると聞きました。
松本:最初からやりたいことに出合える人はごく一部。目の前にある課題や目標に向き合い、努力して乗り越えていくことが大切なんです。自分で探しながら、努力して極めたときに、やっとおもしろさや意義が見えてくるんですね。自信がなくて試行錯誤しているときにふと振り返ると自分が思うよりも高いレベルに達していることも多い。小さな達成感や自信を手にしたときに、ようやく自分がやりたいことが見えてくるのだと思いますよ。私も65歳になり、ようやく研究の楽しさが分かってきました。年齢は関係ありません。自分の目指すものを胸に進んでいきましょう。
◆:僕もマネジメント力を身に付けて、やりたいことを実現できるようがんばります。ありがとうございました。
(2014年3月28日掲載)
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