楽しみながら伝える"木育"を社会運動に!
ものづくりを通して楽しみながら伝える「木育」
健児くん(以下:◆):先生は教育学部で「技術」の先生を養成しておられますが、その中で「木育」に携わられるようになったのは?
田口:実は、大学卒業後10年間は教員として、中学校で技術家庭を教えていました。その後、大学院に入って、現在に至っているんです。技術科目の中には、木材加工という項目があって木材について教える機会がありました。だから、昔から木を使ったものづくりについて学んだり、教えたりする立場にあったんです。その中で「木育」に出会って、学ぶようになり、活動を始めたんです。「木育」には、木や森について「知る」、「触れる」、「ものづくりをする」という三つの要素があるんですが、ものづくりは昔からやっていたので、その活動を少しずつ広げていくような感じで取り組むようになりました。
「木育」についてより多くの人に学んでいただきたい、そう思ったとき「ものづくり」を体験してもらうことを思いつきました。中学の技術分野でやってきたことをそのまま活かすことができ、自分も相手も楽しみながら、木や森の魅力を深く知っていただけると思ったんです。そこで、ものづくり体験を通して木に触れてもらうイベントを開催することにしました。平成17年に始めたのですが、現在では学生と一緒に年間6日間、開催しています。学生も木育について学べますし、子どもにどんな風に教えたらわかりやすいか、などを学んでいくよい機会になっています。目の前で喜んでもらえることで、やりがいにもつながりますし。参加する学生たちは教員を目指しているので、ここで経験することはそのまま教員の仕事に活かされるんです。最近気づいたんですが、クレームが起きたとしても、その裏側にある親心を理解することで、うまく対応できるようになったようです。授業だけではない、触れ合いのシステムって大切で必要なんですよね。
実際、こういったイベントに参加した学生ほど、採用試験にも合格しているようです。子どもが好きで積極的に、さまざまな体験を提供したい、と思っていることが重要なんですね。
田口:実は、大学卒業後10年間は教員として、中学校で技術家庭を教えていました。その後、大学院に入って、現在に至っているんです。技術科目の中には、木材加工という項目があって木材について教える機会がありました。だから、昔から木を使ったものづくりについて学んだり、教えたりする立場にあったんです。その中で「木育」に出会って、学ぶようになり、活動を始めたんです。「木育」には、木や森について「知る」、「触れる」、「ものづくりをする」という三つの要素があるんですが、ものづくりは昔からやっていたので、その活動を少しずつ広げていくような感じで取り組むようになりました。
「木育」についてより多くの人に学んでいただきたい、そう思ったとき「ものづくり」を体験してもらうことを思いつきました。中学の技術分野でやってきたことをそのまま活かすことができ、自分も相手も楽しみながら、木や森の魅力を深く知っていただけると思ったんです。そこで、ものづくり体験を通して木に触れてもらうイベントを開催することにしました。平成17年に始めたのですが、現在では学生と一緒に年間6日間、開催しています。学生も木育について学べますし、子どもにどんな風に教えたらわかりやすいか、などを学んでいくよい機会になっています。目の前で喜んでもらえることで、やりがいにもつながりますし。参加する学生たちは教員を目指しているので、ここで経験することはそのまま教員の仕事に活かされるんです。最近気づいたんですが、クレームが起きたとしても、その裏側にある親心を理解することで、うまく対応できるようになったようです。授業だけではない、触れ合いのシステムって大切で必要なんですよね。
実際、こういったイベントに参加した学生ほど、採用試験にも合格しているようです。子どもが好きで積極的に、さまざまな体験を提供したい、と思っていることが重要なんですね。
教員時代に学んだことを学生に伝えたい
◆:教員をやってから大学に戻られたのは、なぜですか?
田口:自分の学生時代に一番楽しかった授業は、小学校の校長を退職された先生の家庭科の授業だったんです。自分が30年間子どもと接してきた中で、得たこと、教えることの面白さ、コツみたいなものを、本当に分かりやすく、楽しそうに教えていただきました。自分も、教員になって、最後は、若い人にそんなことを伝えたいと、学生のときから思っていたんです。そこで、熊大の大学院に入ったのですが、ちょうど修了する際、教育学部の採用の話があり、現場を知っている人が欲しいという話だったので、試験を受けて、採用された、というわけです。私が思っていたやりたいことと、うまく合致して、本当によかったと思います。
◆:先生が学生を教える中で心がけていることは?
田口:教員を体験してきたから、なのかもしれませんが、「学生に教える」というより「同僚を育てる」という気持ちを強く持っています。自分と同じような意思をもって、一緒にやってくれる仲間をどんどん増やして、一緒に学んでいきたいという思いでいるんです。そういう点は、他の先生とは異なっているかもしれませんが、そんな思いを理解して、いろいろ相談してくれる学生も多いです。
田口:自分の学生時代に一番楽しかった授業は、小学校の校長を退職された先生の家庭科の授業だったんです。自分が30年間子どもと接してきた中で、得たこと、教えることの面白さ、コツみたいなものを、本当に分かりやすく、楽しそうに教えていただきました。自分も、教員になって、最後は、若い人にそんなことを伝えたいと、学生のときから思っていたんです。そこで、熊大の大学院に入ったのですが、ちょうど修了する際、教育学部の採用の話があり、現場を知っている人が欲しいという話だったので、試験を受けて、採用された、というわけです。私が思っていたやりたいことと、うまく合致して、本当によかったと思います。
◆:先生が学生を教える中で心がけていることは?
田口:教員を体験してきたから、なのかもしれませんが、「学生に教える」というより「同僚を育てる」という気持ちを強く持っています。自分と同じような意思をもって、一緒にやってくれる仲間をどんどん増やして、一緒に学んでいきたいという思いでいるんです。そういう点は、他の先生とは異なっているかもしれませんが、そんな思いを理解して、いろいろ相談してくれる学生も多いです。
「仕事」だからこそ多くの人に役立つ研究を
◆今後やっていきたいことは?
田口:ものづくりのイベントや講座をやるだけでなく、地域で、自分たちでイベントを開催する人たちの養成を始めています。現在のべ1,400人の方に講習を受けていただいたのですが、お母さんや学校、幼稚園の先生たちもいらっしゃいました。その受講生の方が地域ごとにネットワークをつくって、各地で小規模の講座をやっていってもらうことが目標です。
私にとって、研究とはそのものに魅力があるものです。当たり前だと思っていることが当たり前ではないということを明らかにしたい、というのがモチベーションの一つになっています。でも、研究は好きなのですが、同時に「自分の仕事である」という認識があって初めて意味のあるものになるとも思っています。だからこそ、多くの人にとって価値のあることを、責任をもってやっていかなければならないんです。
木材などの自然素材が係わることで父と子、祖父と孫が自然に触れ合えるのがものづくりのよいところ。木工をやっていると、子どもたちより保護者の方が一生懸命になったりして、「お父さん、おじいちゃんはすごい」という言葉も子どもたちから自然とでてきます。そうすると、家族の関係は変わってくるのではないかと思うんです。今の時代に必要とされている、かつての家族や地域のつながりを取り戻すことが、ものづくりや木育を通じることで、達成される可能性があるのではないかと。そういう意味で「木育は社会運動」だと思っています。昔、森や河原で遊んでいた、そんな原体験を取り戻すことで、段取り力や工夫力も身につけることができます。それこそが、今の時代に求められる「生きる力」なのではないでしょうか。そのために、小さいときから環境を整えてあげなければならない時代になっています。足りないのだから、気づいた人が使命としてちょっとずつでも動くことが大切なんです。
◆学生の皆さんへ一言
田口:熊大に入って20年になるんですが、20年前はいろんな学生がいたんですよ。豪傑者とか、ちょっと変わっていて人とは違うところがあるけれどなんか面白い魅力がある人とか。確かに留年したり怒られたりする学生も多かったですけどね。
最近の学生さんは、すごく真面目で大切に育てられてきたんだろうという人が多いです。それは教員として大切な素質の一つだと思います。ですが、みんな同じような学生ばかりで、自分と同じような思考をしない人と付き合う機会が減っているのではないかと思うんです。教員になったり、社会にでたりすると、自分と同じ思考の人ばかりではありません。いろんな人とうまくやっていったり、理解したりすることが必要になってきます。学生時代にいろんな人がいれば、自分とは異なる考え方の人との付き合い方や理解の仕方を身につけることもできますよね。そうすることで人としての幅も広がってきますし、教員としても、いろいろな生徒との付き合い方ができて、味わい深い先生になるように思います。ぜひ、いろいろな体験や出会いを通じて、自分の幅を広げて欲しいですね。
田口:ものづくりのイベントや講座をやるだけでなく、地域で、自分たちでイベントを開催する人たちの養成を始めています。現在のべ1,400人の方に講習を受けていただいたのですが、お母さんや学校、幼稚園の先生たちもいらっしゃいました。その受講生の方が地域ごとにネットワークをつくって、各地で小規模の講座をやっていってもらうことが目標です。
私にとって、研究とはそのものに魅力があるものです。当たり前だと思っていることが当たり前ではないということを明らかにしたい、というのがモチベーションの一つになっています。でも、研究は好きなのですが、同時に「自分の仕事である」という認識があって初めて意味のあるものになるとも思っています。だからこそ、多くの人にとって価値のあることを、責任をもってやっていかなければならないんです。
木材などの自然素材が係わることで父と子、祖父と孫が自然に触れ合えるのがものづくりのよいところ。木工をやっていると、子どもたちより保護者の方が一生懸命になったりして、「お父さん、おじいちゃんはすごい」という言葉も子どもたちから自然とでてきます。そうすると、家族の関係は変わってくるのではないかと思うんです。今の時代に必要とされている、かつての家族や地域のつながりを取り戻すことが、ものづくりや木育を通じることで、達成される可能性があるのではないかと。そういう意味で「木育は社会運動」だと思っています。昔、森や河原で遊んでいた、そんな原体験を取り戻すことで、段取り力や工夫力も身につけることができます。それこそが、今の時代に求められる「生きる力」なのではないでしょうか。そのために、小さいときから環境を整えてあげなければならない時代になっています。足りないのだから、気づいた人が使命としてちょっとずつでも動くことが大切なんです。
◆学生の皆さんへ一言
田口:熊大に入って20年になるんですが、20年前はいろんな学生がいたんですよ。豪傑者とか、ちょっと変わっていて人とは違うところがあるけれどなんか面白い魅力がある人とか。確かに留年したり怒られたりする学生も多かったですけどね。
最近の学生さんは、すごく真面目で大切に育てられてきたんだろうという人が多いです。それは教員として大切な素質の一つだと思います。ですが、みんな同じような学生ばかりで、自分と同じような思考をしない人と付き合う機会が減っているのではないかと思うんです。教員になったり、社会にでたりすると、自分と同じ思考の人ばかりではありません。いろんな人とうまくやっていったり、理解したりすることが必要になってきます。学生時代にいろんな人がいれば、自分とは異なる考え方の人との付き合い方や理解の仕方を身につけることもできますよね。そうすることで人としての幅も広がってきますし、教員としても、いろいろな生徒との付き合い方ができて、味わい深い先生になるように思います。ぜひ、いろいろな体験や出会いを通じて、自分の幅を広げて欲しいですね。
(2016年3月4日掲載)
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