赤池孝章研究室(大学院生命科学研究部医学系)
赤池研究室には、赤池教授(中央)、澤准教授(中央右)をはじめ、15人の研究員や学生が所属。
感染症やガンの分子病態解析と活性酸素の機能制御などに関して研究している。
赤池孝章研究室
【大学院生命科学研究部(医学系)】微生物分野
これまで有害物質とされてきた活性酸素が「生理的シグナル伝達機能」を持つという新知見に焦点を当て、活性酸素の機能と病態解明についての研究を重ね世界に発信しています。
活性酸素の新たなシグナル伝達メカニズムに迫る
「学問において真実は一つではない。医学者として研究を極めれば、世界一になれる」という赤池教授の言葉をモットーに、日々研究に励む研究室の皆さん。病気は、病原体をはじめとするさまざまな外的因子に対する人間の防御反応が破たんして起こるもの。その防御機構をつかさどる体内の分子を解明し、病気の早期発見や予防?治療に役立てるための基礎研究を行っています。
「生物学者は常に謙虚であるべき。体の中にできるものはすべて必要なもので、善玉も悪玉もありません」と語る赤池教授。これまで悪玉とされてきた活性酸素が生体内で特異的なシグナル経路を活性化し、細胞保護、細胞分化増殖、細胞死の制御などをつかさどることを研究しています。2007年には、血管拡張などの働きを持つ体内物質「
cGMP
※1
」 が一酸化窒素(NO)と結び付くと、「
8-ニトロcGMP
※2
」という有機化合物が生み出されることを世界で初めて発見し、科学誌「nature chemical biology」などで発表されました。さらに「8-ニトロcGMP」が細胞内のアミノ酸の一種であるシステインと結合すると、ガンや動脈硬化、老化の厚因といわれる活性酸素を除去する酵素をたくさん作り出すこと も解明。赤池教授は「8-ニトロcGMPを研究することは、一酸化窒素が生体内でどのような働きをしているのかを解き明かすカギを握っています」と話します。
バングラデシュや韓国など海外からの留学生も多く、インターナショナルな雰囲気だ | 質量分析やタンパク質の解析などを行い、アメリカのデータベースに送るなど、世界とリアルタイムでつながっている |
最先端の研究がやる気を生む
“赤池研究室の魅力は、世界とつながっていること”と口をそろえる学生の皆さん。「他大学との共同研究の機会も多く、取先端の研究に触れる醍醐味が学習意欲を高めてくれます」と、研究員の井上博文さんは語ります。また、「教授のかじ取りで、時代の先端をいく研究テーマにどんどん取り組めるところが魅力ですね」と研究員の吉武淳さん。
基礎研究を志す医学生の減少から、人材育成が課題と語る赤池教授。「当研究室は、医学だけでなく理工系の優秀な教員も全国から集まっており、学際的な学びを提供しています。これからも画期的治療や疾病予防に結びつくような研究を続けていきたいですね」と語ります。
「学生が行き詰まった時は、すぐに答えを教えるのではなく、煮詰まり具合を見極めて、アドバイスを変えています」と語る澤智裕准教授 | 「8-ニトロcGMP」の研究が発表された「nature chemical biology」誌の表紙 |
(熊大通信42号(2011 AUTUMN)10月1日発行)
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