社会と繋がる、開かれた大学を目指して
オープンな大学にしたい、そのために学内啓発も取り組みます
健児くん(以下、◆):理事として担当している業務を教えてください。
富澤理事:担当は、大学改革?評価。大学を今後どうするか、何をするのか、目標や計画などを作っていくところです。
国立大学は6年間の中期目標?中期計画を立て、それに沿って具体的な業務を実施しなければなりません。2022年4月から熊本大学は第4期中期目標期間に入りましたので、昨年は第4期の中期目標?中期計画づくりをしていました。
また、国立大学は、中期目標?中期計画の達成状況について、文部科学省から評価を受けています。そのための報告書の作成や、その結果を見て、どう対応していくのかを考えるのも仕事です。
◆:第4期の6年間でどんな大学にしていこうとお考えですか?
富澤理事:目標は、社会に開かれた大学にすることです。第4期中期計画では、「常に情報発信し続ける大学」「常に外から見える大学」「常に外からの声に耳を傾け、発展し続ける大学」というキャッチコピーを掲げています。つまり、大学の取り組みを外に発信し、いろいろな方に大学に訪れていただけるようなオープンな大学にしたいと考えています。
第4期のミッションは、大学の研究者同士だけでなく、企業や自治体と一緒に連携をしていくこと。そのためには、地域課題を解決するような、社会貢献につながる研究の推進や、外からの声に耳を傾け、社会に求められる人材を教育していくことにも、取り組んでいかねばなりません。一般の方に大学に来てもらう仕掛けもいろいろ考えています。熊本大学が県民の憩いの場になり、観光客も訪れるような場所になると良いですね。
このような大学にするために、学内へ啓発していくのも私の仕事です。教職員の皆さんには、地域のため、社会のために何ができるかを考え、行動していただきたい。学生の皆さんには、どうしたら自分が社会に役立つ人間になれるかを考えていただきたいです。
コロナワクチンで大注目のRNA修飾を研究
◆:普段はどんな研究をされていますか。
富澤理事:RNA修飾の研究をしています。昔はマイナーな研究分野だったのですが、新型コロナウイルス感染症のワクチンができたことにより、今とても注目を浴びています。新型コロナウイルスのワクチンは、RNA修飾の基礎研究を応用したものなんです。
私が今取り組んでいる研究は、いろんな病気の中でRNA修飾がどうなっているのかを調べ、それをターゲットにした治療法を導き出すことです。例えば、糖尿病だと、あるRNA修飾が悪くなることが分かっています。その修飾を自由自在に制御することで病気の治療につなげようと考えています。
新しい発見に出会って基礎研究にはまってしまった
◆:先生は、どんな学生でしたか?
富澤理事:勉強は、あまりやっていませんでしたね(笑)。部活は体育会系に見られがちですが、ギターマンドリンクラブに所属し、部長も務めました。
そんな私が研究の道に進もうと思ったのは、臨床実習をしていた病院の院長から「大学院に行くなら、基礎研究をしっかりやりなさい」と声をかけられたことがきっかけです。患者に接して診断や治療を行う臨床のベースとして基礎研究があります。院長の言葉に従ってみたら、研究にはまってしまいました。
◆:研究の魅力は?
富澤理事:新しい発見があることです。研究を始めるとき、まず仮説を立てますが、その通りにいくことは、ほとんどありません。「なんでだろう?」と考えるところからスタートし、それが新しい発見につながります。
学生も新しい発見をすると喜びます。今は自分で実験をすることはありませんが、学生とあれこれ議論するのが好きですね。
◆:学生のみなさんへ一言お願いします!
富澤理事:これから熊本大学は、「社会に開かれた大学」を目指します。興味があれば、いつでも大学に来て、学内を見てください。大学はいつでも開いています。キャンパス内を歩いている学生や職員をつかまえて、話をしてみるのもいいですよ。
ぜひ熊本大学に来てください。
(2022年5月19日掲載)