ICTを活用し、社会に貢献できる人材を育成する

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CIOとして新型コロナウイルス感染症の拡大防止体制づくりにも対応

健児くん(以下、◆):理事として担当している業務を教えてください。

宇佐川理事:教育、学生支援が主な担当です。学生が学びやすい環境を整え、さらに困っている学生を支援するために、大学として何をするべきかを考えています。

また、CIO(Chief Information Officer)として、学内の情報系の担当もしています。2004年頃から学内でeラーニングのシステム導入に携わっており、2019年まで、工学部長としてICTを活用した教育の質の担保?向上に取り組んできました。

2020年に国内で新型コロナウイルス感染症が広まり始めてからは、遠隔授業を実施するための仕組みづくりを進め、学生と教員の双方に対する支援も行ってきました。

◆:まだまだ新型コロナウイルス感染症の影響が大きいですね。

宇佐川理事:終焉が見えない状況の中、何ができるかを考えるのは大変でした。Wi-Fiルーターやパソコンがない、という学生もいたので貸し出し機材を用意したり、学内のWi-Fi環境を強化したり。先生方も遠隔授業はほぼ初めてだったので、遠隔授業の工夫を共有する学内のシンポジウムを頻繁に企画したりしました。

2021年4月に教育?学生支援担当理事になってからは、1年間の積み重ねで見えてきた改善点や必要事項を考慮しながら、感染状況に応じた講義室の収容人数のコントロールなど、状況に応じて対処するようにしています。

しかし、学生が大学に来られないことで、躓いたり困ったりしている学生のサポートにも影響がでてきました。今後は、声を出せない学生が孤立しないために何ができるか、何をすべきかが課題です。

教育の考え方が変わる中「人材育成」という大学の役割を果たす

◆:教育という面から、熊本大学の役割をどのように考えておられますか?

宇佐川理事:社会から預かった学生を、社会に貢献する人材に育成して再び社会に送り出す、というのが大学の役割だと考えています。熊本大学に入ってきた時点で、家族や本人と大学の間では、その役割を果たすために力を尽くすという暗黙の契約を結んでいると思うんです。

現在の社会状況を考えると、留学することも学生にとっては難しくなっています。ですが、直接行かなくても遠隔授業の仕組みを活用すれば時空間を超えて、海外の大学の授業を受けることもできます。

学びの自由度は格段に上がっています。世界の大学の中で熊本大学が何をするかを考え、学生に提示していくことで、社会貢献につながる人材育成をしたいと思います。


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人を中心において、刺激に対する反応を分析する研究に従事

◆:先生は、これまでどのような研究をしてこられたんですか?

宇佐川理事:もともとは音の研究をしていました。どのように音が聞こえて、その結果どのような反応になるのかを心理学的に分析したり、聞こえ方を判別するコンピューターモデルを作ったりしていたんです。

一方で20年くらい前からはeラーニングシステムや、教育を遠隔で行う方法についても研究してきました。2004年頃からはインドネシアに10年ほど通って、大学院の遠隔授業や研究システムをどうするかについて、現地で実際にやっています。ベトナムやミャンマー、モンゴルでも同じようなことをやっており、研究室にもこれらの地域の学生がきていました。

熊本大学のシステムを使って学んだ学生が、実際に現地でシステムを活用したという事例もあります。それぞれの国の状況に合った方法を見つければ、高い成果を残すことができると感じました。

音もeラーニングの教育システムも「人間にどのような刺激を与えると、どんな反応をするのか」という点で共通していると思っています。昨日聞いた音と今日聞いた音で同じ反応をする、というわけではないので、心理的な部分も考慮しながら分析することで、効果的なやり方が見えてくると考えています。

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多面的な見方の重要性を知った学生時代

◆:大学時代の思い出は?

宇佐川理事:大学時代、長期の休みにはアメリカに行っていました。3年生で4週間、4年生で6週間です。英語は得意ではありませんでしたが、しゃべるしかない環境に自分を置くことで英語の習得にもつながりました。この時に感じたのが、人種や国によって価値観が大きく異なるということです。一つのものを異なる視点で見ることの重要性を知りました。今、いろいろなことを調べたり考えたりする際にも、多面的なものの見方をすることが習慣になっています。

◆:学生の皆さんにメッセージをお願いします!

宇佐川理事:いろいろな視点でものを考える、という点からも、言語の習得は重要です。専門分野の知識が豊富であることは重要なのですが、それをどんな国に行っても発信できる、意思表明できることも重要なのです。

さらに、社会生活においてもさまざまな視点からの情報を得るためには、一つの言語からしか情報が得られないのは危険だということも知ってほしいと思います。どんな国に行っても自分の専門性が活かせるようになる、ということを考えてもらいたいですね。

熊本大学はその機会を準備しています。いつでも提供できますので、ぜひもっと活用してください。

(2022年5月31日掲載)

お問い合わせ

総務課 広報戦略室

096-342-3269