初期前駆T細胞性急性リンパ性白血病の病態の再現にマウスを使って成功

熊本大学国際先端医学研究機構?指田吾郎特別招聘教授と千葉大学大学院医学研究院/東京大学医科学研究所?岩間厚志教授の研究グループは、小児に多いがんの一つであり、従来の抗がん剤に抵抗性を示す初期前駆T細胞性急性リンパ性白血病(※1)の病態を遺伝子改変マウスにおいて再現することに成功しました。その解析から発症メカニズムにつながるがん抑制遺伝子発現異常を発見、がん細胞の増殖を抑える薬剤の治療薬としての有効性を確認し、論文を米国学術誌The Journal of Clinical Investigationに2018年8月6日(オンライン版)発表しました(Wang C, et al. Ezh2 loss propagates hypermethylation at T-cell differentiation-regulating genes to promote leukemic transformation)。

なお、本研究は岩間教授が領域代表を務める科学研究費補助金(新学術領域研究(研究領域提案型))「ステムセルエイジングから解明する疾患原理」ならびに科学研究費補助金(基盤研究)の成果です。

※1 初期前駆T細胞性急性リンパ性白血病(ETP-ALL)とは
骨髄から胸腺にやってきた初期前駆T細胞が腫瘍性に増殖して造血障害を生じる血液がん。小児に多くみられ、従来のCD4/CD8陽性のT細胞性急性リンパ性白血病と異なる病態を認める。エピゲノム制御因子EZH2の変異が認められ、悪性度との関連が言われています。

【論文情報】
論文名:Ezh2 loss propagates hypermethylation at T-cell differentiation-regulating genes to promote leukemic transformation
著者:
Changshan Wang, Motohiko Oshima, Daisuke Sato, Hirotaka Matsui, Sho Kubota, Kazumasa Aoyama, Yaeko Nakajima-Takagi, Shuhei Koide, Jun Matsubayashi, Makiko Mochizuki-Kashio, Takako Nakano-Yokomizo, Jie Bai, Toshitaka Nagao, Akinori Kanai, Atsushi Iwama, and Goro Sashida

掲載誌:The Journal of Clinical Investigation
URL: https://doi.org/10.1172/JCI94645

【詳細】
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お問い合わせ

熊本大学 国際先端医学研究機構
担当:指田 吾郎(特別招聘教授) 
TEL:096-373-6847
e-mail:sashidag※kumamoto-u.ac.jp

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