エイズウイルスは動く遺伝子トランスポゾンLINE-1をコントロールする

【ポイント】

  • エイズウイルスはトランスポゾンLINE-1のヒトゲノムへの転移を抑制する。
  • LINE-1のヒトゲノムへの転移は細胞周期に依存する。
  • ヒトゲノムの約20%を占めるトランスポゾンLINE-1のヒトゲノム内の動きをコントロールするメカニズムの解明が期待される。

【概要説明】
 熊本大学エイズ学研究センター 有海プロジェクト研究室の有海康雄准教授のグループは、エイズウイルス(HIV-1)が宿主細胞内の動く遺伝子(転位因子)LINE-1のヒトゲノムへの転移を抑制することを明らかにしました。
 ヒトゲノムの半分が動く遺伝子トランスポゾンで占められていますが、そのトランスポゾンの役割、病気との関連性やヒトのゲノム内で動くメカニズムについてはあまり良く分かっていませんでした。今回、ヒトゲノムの約20%を占めるLINE-1のヒトゲノムへの転移がエイズウイルス感染や細胞周期によってコントロールされることを初めて明らかにしました。
 本研究成果は、英国オックスフォード大学出版の国際誌「Nucleic Acids Research」において、平成30年7月31日に公開されました。また、本研究は日本学術振興会 二国間交流事業(課題番号:14544610)、熊本大学エイズ制圧を目指した治療予防開発国際研究教育拠点事業、熊本大学エイズ国際ネットワーク研究事業によって実施されたものです。

【論文情報】
論文名:HIV-1 Vpr and p21 restrict LINE-1 mobility

著者:Koudai Kawano, Aurélien J. Doucet, Mikinori Ueno, Ryusho Kariya, Wenfeng An, Flavia Marzetta, Misao Kuroki, Priscilla Turelli, Sayaka Sukegawa, Seiji Okada, Klaus Strebel, Didier Trono, Yasuo Ariumi

掲載誌:Nucleic Acids Research 46:8454-8470, 2018
doi:10.1093/nar/gky688
URL:https://doi.org/10.1093/nar/gky688

【詳細】
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お問い合わせ

熊本大学エイズ学研究センター
担当:准教授 有海康雄
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e-mail:ariumi※kumamoto-u.ac.jp
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