細川家による葡萄酒製造の下限を示す寛永9年(1632)8月の史料を新たに発見
【ポイント】
- 最古の日本産ワイン醸造期間と考えてきた寛永4年(1627)~寛永7年(1630)より2年後の寛永9年8月に葡萄酒醸造を命じる史料を新たに発見しました。
- 醸造を命じた小倉藩主細川忠利は寛永9年12月に肥後藩へ国替え(領地移動)となっており、これが葡萄酒醸造中止の直接的契機となったことが伺えます。
【概要説明】
熊本大学永青文庫研究センターの後藤典子 特別研究員は、これまでの研究で寛永4年(1627)から寛永7年(1630)までの4年間とされてきた小倉藩主細川家における葡萄酒醸造が、寛永9年にも行われていた可能性を明確に示す史料を発見しました。これは、細川家による葡萄酒製造期間の下限を示す史料である可能性が極めて高いものです。
当時一般に「葡萄酒がキリシタンの飲み物であった」と認識されていたことが、細川家が葡萄酒醸造を停止した理由の一つだとはわかっていましたが、今回葡萄酒醸造を命じる記述が見つかった寛永9年は、細川家が小倉藩から肥後藩へと移った年であり、この発見によって、豊前から肥後への国替えが葡萄酒醸造停止の直接的契機であったことが明らかになりました。
【参考】
熊本大学プレスリリース「400年前の国産ワイン醸造の詳細が明らかに―永青文庫史料の研究調査により薬用アヘンの製造も確認」(平成30年4月2日)
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*永青文庫研究センター
熊本大学附属図書館には、「永青文庫細川家資料」(約 58,000 点)や細川家の筆頭家老の文書「松井家文書」(約 36,000 点)の他、家臣家や庄屋層の文書群計 10 万点あまりが寄託?所蔵されており、永青文庫研究センターではこれらの資料群について調査分析を行っています。
※「永青文庫研究」は熊本大学永青文庫研究センター発行の紀要です。入手を希望される方は永青文庫研究センター(下記お問い合わせ先)までご連絡ください。
詳細 プレスリリース本文(PDF256KB)
熊本大学永青文庫研究センター
担当:(センター長)稲葉 継陽
(特別研究員)後藤 典子
電話:096-342-2304
E-mail:eiseiken※kumamoto-u.ac.jp
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