小畑弘己教授、第11回日本考古学協会賞大賞を受賞
熊本大学大学院人文社会科学研究部(文学系)の小畑弘己教授は、2021年5月22日に開催された第87回日本考古学協会総会にて、著書『縄文時代の植物利用と家屋害虫-圧痕法のイノベーション』(吉川弘文館、2019年11月刊行)の功績がたたえられ、第11回日本考古学協会賞大賞を受賞しました。受賞理由については、下記の日本考古学協会のウェブサイトに掲載されています。
日本考古学協会ウェブサイト http://archaeology.jp/prize/11th_award/
? 日本考古学協会は、1948年に創設された会員数約4,000名の日本でもっとも大きな考古学に関する学会です。本賞は2010年度より設けられ、今回までに大賞を9名、奨励賞を14名が受賞しています。小畑教授は2012年(第3回)に同賞奨励賞を受賞しているほか、第25回濱田青陵賞(岸和田市?朝日新聞、2012年)、第5回古代歴史文化賞大賞(島根県ほか4県、2017年)など、数々の受賞歴があります。
小畑弘己教授
【小畑教授の経歴】
小畑教授は考古学が専門で、これまで縄文土器の粘土の中に練りこまれた当時のタネやムシの痕跡を追い求め、縄文時代の栽培ダイズの発見、日本最古の貯蔵堅果類害虫コクゾウムシの圧痕の発見、コクゾウムシを500匹入れた土器の発見、韓国最古の穀物圧痕の発見、中国初のコクゾウムシ圧痕の発見など、数々の貴重な発見を重ねてきました。最近では、軟X線やX線CT機器などを駆使した圧痕調査法を開発し、土器圧痕学ともいうべき新たな考古学の分野を確立しました。
小畑教授が推進する研究は、発掘件数が減少傾向にあり、将来的にその恒久的な保存が危ぶまれている収蔵庫に眠る多量の土器を新たな研究資源とし、再度土器を「発掘」することで、その中に眠る先史時代の生活や生業に関する情報を得ようというもので、衰退化しつつある現代日本の考古学コミュニティーの再建のための道しるべとなる研究といえるものです。その斬新性と将来性が評価され、昨秋、X線機器とAI技術、高精度化学分析や年代測定法などの技術を用いた新たな22世紀型の考古資料学を構築する文部科学省科学研究費助成事業「学術変革領域研究(A)(領域研究タイトル『土器を掘る』)」にも採択されました。
X線CTで撮影?復元した土器中のコクゾウムシ圧痕
【詳細】
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熊本大学大学院人文社会科学研究部
教授 小畑 弘己
電話:096-342-2423