次世代を担う超軽量?高強度の金属極細ワイヤーの誕生!~マグネシウム合金ワイヤーの細線化で世界記録を大きく更新~
熊本大学と東邦金属(株)が、 KUMADAI 耐熱マグネシウム合金の
極細ワイヤー(線径0.05mm)の開発に成功!
~マグネシウム合金ワイヤーの細線化で世界記録を大きく更新~
このたび、熊本大学は優れた伸線加工技術を持つ東邦金属(株)と共同で、世界で初めて
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耐熱マグネシウム合金の極細ワイヤーの開発に成功しました。
マグネシウム合金は、密度1.8g/cm3と実用金属で最も軽量であり、また生体親和性や生体吸収性が高いことから、軽量構造材料や生体吸収性生体材料として期待されています。これまで、純マグネシウムや一般的なマグネシウム合金の細線やワイヤーが開発されてきましたが、マグネシウムは六方最密構造のために加工性が悪く、線径は100μm(0.1mm)が限界でした。一方、熊本大学が開発した
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耐熱マグネシウム合金は、世界最強の機械的強度と耐熱性ならびに難燃性を併せ持つことから、航空機用構造材料や生体吸収性生体材料として期待されています。これまで大型の棒材、パイプ材、板材、鍛造材、微細な粉末、薄いテープの製造技術を開発してきましたが、
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耐熱マグネシウム合金は室温のみならず高温での機械的強度が高いために、細線やワイヤーの製造は困難であると考えられてきました。
この度、熊本大学と東邦金属(株)は、共同研究によりこれらの課題を解決し、東邦金属(株)が難加工材であるタングステンワイヤーの製造で培ってきた独自の伸線加工技術を基にして、適切な伸線条件及び伸線ダイスの材質と形状の最適化により、線径50μm(0.05mm)の
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耐熱マグネシウム合金極細ワイヤーの製造技術の開発に成功しました。日本人の平均的な頭髪の直径がおよそ0.1mmですから、頭髪よりも半分近い細さのワイヤーが実現できたことになります。また、
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耐熱マグネシウム合金は高強度?低密度であり、高強度ではあるが高密度のタングステンと比べ、2倍の比強度(重量比強度)の極細ワイヤーとなります。世界中で注目されている日本発の新しいマグネシウム合金である
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耐熱マグネシウム合金の極細ワイヤーが世界で初めて実現するととともに、マグネシウム合金ワイヤーの細線化の世界記録を大幅に更新した点に大きな特徴があります。
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耐熱マグネシウム合金極細ワイヤーは、
- 精密溶接や3Dプリンター用の原料
- 生体吸収性ステント等の循環器用医療機器
- 生体吸収性の縫合糸や血管結合具等の外科?インプラント用医療機器
- 燃料電池の電極材料
などへの応用が期待されます。
今後は、熊本大学と東邦金属(株)との共同研究を加速させ、さらなる極細化の技術開発を行うとともに、
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不燃マグネシウム合金等の他の合金への展開を図っていきます。それと並行して、生体吸収性医療機器等の応用製品の開発を進めて行きます。
【詳細】
プレスリリース本文
(PDF 766KB)
熊本大学
先進マグネシウム国際研究センター
教授/センター長
河村 能人(カワムラ ヨシヒト)
TEL/FAX:096-342-3717
E-mail: rivervil※gpo.kumamoto-u.ac.jp
(メール送信の際は、※を@に換えてください)